「彼女」はどんな気持ちだったんだろう――女心がまるでわからない男の話

「彼女」はどんな気持ちだったんだろう――女心がまるでわからない男の話

こんばんは、オオヌキです。

今日も過去の思い出話シリーズ。しかも皆さんお待ちかねの女性問題です!そう、こんなわたしにも女性絡みの話があったのです。

この話を読んで、皆さんがどう思うか。とくに女性がどう思うか。ただでさえ女性人気ゼロなのに、それがマイナスになる可能性もありますが、赤裸々に書きます。書くことで、自分のなかで消化したいと思います。

 

――同い年の女の子がベッドでエッチな本を読み始めたら、あなたはどうしますか?

 

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高校卒業と同時に上京し、慣れない寮生活を過ごしていた頃、同じく上京した高校時代の友人とよく遊んでいました。ホームシックにもかかっていたので、地元の友人と会うと、少しその気持ちがまぎれます。

そのなかにひとり、女子がいました。高校時代、一度も同じクラスだったことはありません。でも、卒業間近になって共通の友人を通して知り合いになり、同じ東京に行くということで連絡先を交換していました。

仮にその女子の名前をAさんとします。

Aさんは明るい人でした。いつも笑っていました。そして、不思議な人でした。行動が読めない。単純にわたしが人の心に鈍かっただけかもしれませんが……。そのAさんと、たびたび秋葉原にふたりで遊びに行きました。そう、遊びにです。付き合っているわけではありません。Aさんはコスプレ好きで、コスプレショップを回ったりもしていました。

一番記憶に残っているのは、Aさんの提案で、ふたりでスーツを着て遊んだときです。まだ専門学生ですから、スーツなんてほとんど着たことはありません。まさにスーツに着られている状態のわたしを、リクルートスーツのAさんが笑いました。そのまま秋葉原の街を歩いたのを覚えています。繰り返しますが、付き合っていません。

当時、Aさんを好きだったか。正直、記憶が曖昧です。ただAさんといる時間は楽しかった。わたしはAさんに甘えていました。でもそれは、母親にすがるような甘えだったのかもしれません。田舎が恋しくて、ひとりがつらくて、その気持ちをAさんで紛らわしていた。果たしてそれは好意と呼べるのでしょうか。わかりません。

 

なら、Aさんは、

わたしをどう思っていたのでしょうか……

 

 

ある日、Aさんがわたしの部屋に行きたいといいました。「エッチな本が読みたい」。それが部屋にくる目的です。マジの話です。

男の寮なので、そういう本をみんなで回し読みしていました。それをAさんに話したときのことです。なぜそんな話をAさんにしたのか覚えていません。いま考えれば、最悪の話題です。でも、Aさんはとても興味を示しました。読みたい読みたいとはしゃぐのです。

まあ別にいっかとわたしはAさんを迎え入れました。部屋にきたAさんは、わたしのベッドに座り、エッチな本を楽しそうに読んでいます。そのときはじめて、わたしは震えました。

この状況って……

狭い部屋に若い男女がふたり。女子はエッチな本をベッドで読んでいる。

さ、誘ってる……?

童貞を捨てるときがきたのか!?でも、どうすればいい?押し倒す?いや、相手にその気がなかったら犯罪だ。じゃあ聞くか?聞くって、どうやって?エッチなことしようか?あほか、ストレートすぎる。どうすればいいんだ!

もうパニック状態。そして最後に導き出した結論。

 

なにもしない。

 

Aさんは一通り読み終え、帰りました。駅まで送り、別れたあと、どっとため息がでます。

結局、最後の一歩を踏み出せなかった理由。Aさんはきっと他意はない。単純にエッチな本が見たかっただけだ。

今のようにネットで自由に見れる環境ではありません。かといって、女子がひとりで男性向けの雑誌を買うのも勇気がいるでしょう。でも興味がある。そこで仲の良い男友だちに見せてもらおうと思いついた。それだけの話。なのに自分がひとりで舞い上がってどうする。そう結論づけたのです。

 

その数か月後。

Aさんとは、ときどき遊びに行く関係は続いていました。そのAさんが新しいアルバイトをはじめました。キャンペーンガールです。かなり際どい衣装でビラを配るバイトでした。コスプレ好きのAさんにはピッタリともいえます。

「見せてあげようか?」。Aさんはそう言いました。見れるみんならそりゃ見たい。わたしは素直に頷きました。それじゃまた部屋にいくね」。……え?思考が追い付きません。部屋に?なんで?

困惑するわたしに、Aさんは言いました。

 

「衣装は持ち帰りだから」

 

つまり、わたしの部屋に衣装を持ってきて、その場で着替えて、見せてくれるというのです。

さすがにそれはマズイんじゃないのか……。自分も理性を抑えられる自信がありません。でも、断りきれませんでした。やっぱりここでも「ただの友だちなんだから。友だちにかわいい姿を見せたいだけ」と自分で自分を納得させたのです。しかし前日は寝れませんでした。夜中、ずっと悶々としていたのを覚えています。

 

そして当日――。

寮の部屋に仕切りはなく、ベッドが置いてあるだけの質素な空間。風呂・トイレも共用だったので、着替えるスペースはどこにもありません。なのでわたしが一度部屋の外にいき、その間にAさんが着替えることになりました。

着替えが終わった合図をもらい部屋に戻ると、Aさんは、メーカーの名前が大きくプリントされた青いトップスに、真っ白のミニスカートをはいていました。なんでそんなに覚えてるか?それだけ衝撃的だったんです。想像してみてください。むさくるしい男だけの寮に、コスプレ少女が現れたんです。平静でいられるわけがありません。

綺麗だね。かろうじてそう言いました。でもそれ以上、言葉がでてきません。なにをしていいかもわかりませんでした。

だからやっぱり、わたしはなにもしませんでした。

彼女とぎこちなく話し、いつもより早めに別れました。いつも駅まで送っていくのに、この日は送っていけませんでした。

 

それが疎遠になった最初の日です。あの日以降、連絡が徐々になくなり、どちらからともなく音信は途絶えました。いまAさんがなにをしているか。わたしは知りません。

 

 

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「据え膳食わぬは男の恥」ということわざがあります。

食べてくださいと差し出された膳に手をつけないのは男の恥であることから。
「据え膳」とは、すぐ食べられるように支度が整えられた食膳のこと。転じて女性から持ちかけられた情事のことをいう。

わたしはあのとき、「据え膳」を食べませんでした。男の恥をかきました。でも、Aさんにはもっと恥をかかせました。Aさんのアピールをことごとく無視していた。

でも、あれは果たして、「据え膳」だったのでしょうか。Aさんは情事をもちかけていたのでしょうか。それは今もわかりません。

 

ただ、もし、Aさんにその気があったのだとしたら……

わたしは最低の男でしたね。ここまで女性にさせてなにもしないだなんて、とんだチキン野郎です。今の自分だったら、最初に部屋にきた時点で狼になる……いや、なれないな。きっと今もチキンです。簡単に根は変わりません。

あの頃も今も、「こんな自分に」というネガティブな感情がいつもあります。自分に自信がもてない。最後までAさんに対し「友だちだ」と思い続けたのは、「こんな自分を好きになるはずがない」という思い込みゆえでした。

そんな女性に奥手でチキンでネガティブなわたしをエスコートしてくれたのが奥さん。奥さんは思ったことをズバズバ言ってくれます。感情をすぐ口に出してくれます。それがチキンな自分には心地よい。ほんと相性ですね。奥さんで良かったなと改めて思います。

 

ただこの話、あくまでわたしから見た視点です。もしAさんがこの話を見たら、「え、そんなこと考えてたの?キモッ」と思われるかもしれません。そうであってほしいと思います。「あなたはただの友だちだよ。友だちだからエッチな本を見せてと頼んだし、友だちだからバイトの服を見せたかったんだよ」。それが答えだと信じたいです。

でも、答えを確かめる術はありません。いや、確かめたくないのが正直な気持ちです。現実と向き合う勇気がありません。

 

Aさんは今ごろなにをしているのでしょう。願わくば、幸せになっていてほしいと思います。

それがあのとき、狼にならなかった(なれなかった)情けない男の身勝手な願いです。