だれもがアイドルを追いつめられる世界――柿崎芽実さんの卒業に思うこと

だれもがアイドルを追いつめられる世界――柿崎芽実さんの卒業に思うこと

こんばんは、オオヌキです。

 

8月11日の個別握手会をもって、日向坂46の柿崎芽実さんがグループを卒業しました。

柿崎さんは卒業セレモニーで、ストーカー被害を告白。数ヵ月前から自分と周辺メンバーにストーカー被害があり、その恐怖で握手会を休むことが多くなったそうです。日向坂46公式サイトでも、今年の5月に、メンバーとその家族への迷惑行為に関するお知らせをリリースしていました。

ストーカーが彼女にどれだけの精神的苦痛を与えたか。察するに余りあります。この先、穏やかな日々を過ごせることを切に願います。

 

この件を受けて、SNSでもストーカー許すまじの声が多くあがりました。当然です。ストーカーは人道にもとる行為。ストーカーの身勝手な行動が、ひとりの女の子の道を閉ざした。怒りの感情がわかないわけがありません。

ただ、犯罪者を断罪する一方で、今回の件は、自分に置き換えることも必要だと思います。つまり、警告している人間のなかにもストーカー予備軍がいる。アイドルを追い込む可能性の存在がいる……。

自分の行動が、好きな人を苦しめる。そんな想像をしたことがありますか?

 

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アイドルの握手会では、「説教厨」と呼ばれる人たちがいます。握手会でわざわざメンバーに説教する人たちを指します。説教の理由はさまざまで、明確に相手を傷つけようと説教する人もいます。これは完全な悪意。

厄介なのは、まるで悪意がなく、「善意からのアドバイス」と思っている人たち。こういう人たちは、むしろアイドルを助けてやってる認識かもしれません。なにしろ本人は善意のつもりですから、反論すれば逆上する可能性もあります。「おまえのためを思って言ってるのに!」と。

3年前の記事ですが、ある現役アイドルは、説教厨についてこう言っています。

「“説教厨(ちゅう)”。これは『今日、歌詞間違えたね』とか『その日は僕、仕事があるからライブを入れないでね』みたいに、まるでマネジャーや運営のような発言をする人。こうした人たちは、ちょっと扱い方を間違えると何をするかわからないので注意しています」
小金井刺傷事件に衝撃、現役アイドルたちが警戒する“危ういファン”の共通点

もちろんこれはアイドル側の言い分で、ファン側にも言いたいことはあると思います。ただ、アイドルにとって注意すべき存在であるひとつの例としてお含みおきください。

つまり、善意が善意として受け止められないことがある。善意が迷惑行為に成り得る。説教厨のように、善意の行動がストーカー(つきまとい)と同じぐらい、相手に精神的苦痛を与えている可能性もあります。

 

他にもこんな例があります。

街中でたまたまアイドルを見かけたから、あとを追いかけた。あるいはtwitterで、「いまここに〇〇さんいるよ。クレープ食べてた」などとプライベートを拡散する。それらの人たちは、もし責められたとしても、「みんなやってるでしょ?なにが悪いの?」と開き直ることが考えられます。

自分の立場で考えたら、たまったものではありません。四六時中監視されているようで、心がまるで休まらない。

乃木坂46の堀未央奈さんは、トークアプリ『755』で、盗撮行為に対して苦言を呈しました。

プライベートの盗撮、やめてください。友達や家族にも迷惑がかかるので。。
https://7gogo.jp/hori-miona/1571

この発言を受けて、自分の過ちに気づければ、まだ良いと思います。「あ、これはダメなことなんだ」と。間違いは誰にでもあります。大切なのは、間違いを間違いと認め、先に活かすこと。

でも、相手が嫌がっているとわかっているのに、こんな言葉で、逆にアイドルを責める方もいるかもしれません。

 

「有名税なんだから我慢しなよ」

 

とんでもない。犯罪者に理由を与えてはいけません。アイドルだって、一般人だって、やっちゃだめなことはやっちゃだめです。人は人ですから。その同じ「人間」に対して精神的に苦しめるのを、「有名税」なんて安易で使い勝手の良い言葉で片付けてはいけません。本人が嫌がってることをやりつづけるのは有名税じゃない。ただの嫌がらせ、もっといえば、犯罪です。

 

「なんでファンがアイドルにそこまで考えなくちゃいけないのか」。そう思ったとしたら、それは違います。アイドルとファンの関係性ではなく、迷惑行為は、人と人の関係性の問題です。ファンがアイドルに。ではなく。人が人に。で考えてほしいと思います。

ナイフをもったり、自宅付近をウロウロするのは、明確な犯罪行為です。すぐ捕まえてほしい。そんな犯罪者にならないようにするのはもちろんですが、説教厨や、軽い気持ちでプライベートを明かすのも、立派な精神的苦痛を与える行為です。「悪意なき攻撃」を自分がしていないか、振り返る必要は常にあります。アイドルを応援することは、人を応援すること、人と付き合うことですから。

大切な「人」を傷つけていないか。今回の件がそれを振り返るきっかけになればと思います。いや、きっかけにすべきです。柿崎芽実さんを追い詰めたストーカーが、明確な悪意にもとにおこなったのか、自覚がなかったのかはわかりません。ただ事実として、ストーカー行為で追い込まれるアイドルがいて、卒業のタイミングでそのことを告白した。勇気ある発言をした柿崎芽実さんの行動を無駄にしてはいけません。

 

極論ですが、だれもがストーカー予備軍。アイドルを追い込む存在になりえます。わたし自身もです。だからこの記事も、「おまえらしっかりせーや」と上から目線で書いたのではなく、自分自身へ宛てた注意喚起でもあります。

もちろん運営の対策は必要不可欠。大前提です。そこがなければお話になりません。ただ、ファンが迷惑行為を犯さないよう心がけることも、犯罪を未然に防ぐ策となります。

柿崎芽実さんの行動が、ファンひとりひとりの意識を変えるきっかけになることを願います。