彼女の背中には“翼”がある――松井珠理奈さんの卒業発表を受けて

彼女の背中には“翼”がある――松井珠理奈さんの卒業発表を受けて

こんばんは、オオヌキです。

 

松井珠理奈さんが卒業を発表してから、もう2か月以上が過ぎました。ファンの胸中は、あれからどう変わったのでしょうか。なにも変わっていないでしょうか。いつかくる推しの卒業。輝かしい未来への旅立ちに心躍る面もあれば、アイドルとしての彼女が見れなくなる悲しさもあります。

これまで珠理奈さんについて幾つか記事を書きましたが、今回は今までとは違うテイストにしてみました。彼女との思い出を振り返りながらお楽しみいただければ幸いです。

それでは、ゆっくりとご覧ください。

 

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いま、これを読んでいるあなた。そう、あなたです。あなたは、松井珠理奈さんの卒業発表を受け、物思いに耽りながら薄暗いバーのカウンターでお酒を飲んでいます(未成年の方は、そういう雰囲気を想像してください)。

そこにひとりの客が入ってきました。30代後半のスーツを着た男性です。彼はあなたの横に腰掛けると、「悩み事ですか?」と丁寧な口調で聞いてきました。見ず知らずの人間にそう言われるほど自分は落ち込んでいたのか。そのことを恥ずかしく思いながらも、あなたは「ええ」と答え、誰かに聞いてほしかった胸の内を明かします。

「推しが卒業を発表しまして」。男性は「ほう」と顎を触り、「それは松井珠理奈さんですか?」と逆に聞いてきました。あなたは驚き、「そうです」と答えます。すると男性は、笑顔で言いました。

「わたしも松井珠理奈さんのファンなんですよ。でも、あなたの思うファンとは違うかもしれない。少し長くなりますが、お時間よろしいですか?」

あなたは、「もちろんです」と答えると、男性はマスターに「いつものを。あと、こちらのお客様にも」と注文し、静かに語りだしました。

 

 

 

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松井珠理奈という人を、あなたはどこまで知っていますか?

……失礼。聞き方が悪かったですね。一緒に振り返ってみましょう。

彼女はアイドルです。SKE48の第1期生として、2008年10月に公演デビュー。同月、AKB48の10thシングル『大声ダイヤモンド』でシングル表題曲選抜メンバーに選ばれ、そのセンターを務めました。当時11歳です。

11歳。わたしたちはその頃、なにをしていたでしょうか。恥ずかしながら、友だちとバカ騒ぎしていた記憶しかありません。背負うものなんてなにもなかった。それが普通の11歳だと思います。なのに、珠理奈さんはその若さでAKBグループを真ん中で背負うことになった。当然、否の嵐が吹き荒れました。そのあたりは、きっとあなたのほうが詳しいでしょう。

でも、彼女は折れなかった。いや、折れたときもあったのかもしれません。ただ芯は折れなかった。折れなかったからこそ、ここまでこれました。振り返れば早いものですね。ランドセルとAKBグループを背負った少女は、いつの間にか23歳の立派な大人の女性になりました。

 

実はですね、わたしはアイドル・松井珠理奈をあまり知らないのです。アイドルとしての活動をほとんど見たことがない。名前は聞いたことがある。その程度でした。その割には詳しいって?いやいや、あなたやファンの方にはとてもかないません。このあたりの知識も、彼女のファンに教えてもらったことがほとんどです。本当に良いファンに恵まれてますね。

珠理奈さんが『豆腐プロレス』の影響で、プロレスにハマったのはご存知だと思います。それがわたしと珠理奈さんを繋いだんですよ。実はわたし、プロレスファンなんです。

プロレスファンというのは厄介でしてね、外部からの介入を心底嫌います。とくにアイドルには拒否反応がある。いや、プロレスファンで括るのはいささか乱暴ですね。わたしの個人的な意見にさせてください。

だから、松井珠理奈がプロレスに興味を持ち、新日本プロレスに近づきはじめたときも、どうせ売名だと思いました。実際、そういう声は多く、彼女の耳にも届いていたはずです。でも徐々に気づきました。彼女はビジネスでプロレスを好きなのではない。本当に好きなんだ。好きは伝わるものです。わたしの頑固な心を、彼女のプロレス愛が溶かしてくれました。

彼女には本当に感謝しているんです。プロレスで熱くなる、涙する、本気で応援する。その純粋な楽しみ方を再び思い出させてくれたのですから。

先ほども申し上げましたが、わたしはアイドルとしての彼女をほとんど知りません。知っているのは、プロレスにのめり込むひとりの女の子としての松井珠理奈です。その彼女が、AKBグループの総選挙で1位になりたいと聞いたときも、プロレス好きの知り合いを応援する気持ちで投票しました。

松井珠理奈はアイドルであると同時に、わたしにとってはプロレス仲間なんです。その仲間が大舞台に立つ。応援しないわけにはいきません。

そして忘れもしません、2018年、「AKB48世界選抜総選挙」で10年越しの夢を叶えます。1位、チャンピオンです。好きなレスラーがベルトを獲ったときのような喜びがこみ上げました。

ただ……ただ、ですよね。そこからの話はやめておきます。あなたも聞きたくないでしょう。わたしも話したくはありません。いま、笑顔でわたしたちの前にいてくれる。その事実に感謝するのみです。

 

わたしはね、彼女には幸せになってほしいと心から思うんです。だってそうでしょ。これだけ人に幸せを与えてきた彼女ですよ。本人が幸せにならなければいけないんです。

それにファンの、いえ、あなたが珠理奈さんに一番に望むことはなんですか?

テレビで活躍してほしい、舞台に出てほしい、CDを出してほしい、ダンスを続けてほしい、おいしいものを食べてほしい……いろいろありますよね。でも最後はここに辿りつきませんか?

 

幸せになってほしい。

 

わたしは彼女のいろいろなファンと話をしてきました。みんな彼女を好きでした。彼女が笑顔だと、みんなも笑顔になった。彼女の話になると前のめりになり、彼女の良いところを言うと、まるで自分のことのように嬉しそうな顔をする。ここまで誰かを幸せにする彼女が幸せにならない世界なんて嘘です。

だから、これからも彼女は幸せになる道をいきます。卒業しても、必ず幸せになります。絶対です。

 

なんで断言できるのかですって?

それは、あなたがいるからですよ。

 

ファンは翼です。アイドルの背中に生えた翼です。

彼女の背中には、どんな翼があるのか。わたしには、強く、美しく、真っ白な翼が見えます。誰かを傷つける尖った羽根ではなく、誰かを包み込み優しい羽根をつけた翼で、彼女はこれまで上昇してきました。

そんな翼(ファン)がある限り、ぐんぐんと舞い上がる珠理奈さんの姿しか想像できません。ただ、どんなに翼が立派でも、その持ち主が力を失えば意味がない。翼の大きさに見合うだけの力が必要になる。珠理奈さんにその力があるか。それは言うまでもないでしょう。

 

彼女を羽ばたかせる翼……

そう、ここまで話をきいてくれたあなたもまた翼なのです。

 

おそらく、わたしの珠理奈さんに対する知識は、あなたの半分もありません。それなのにあなたは真剣に聞いてくれた。茶化すことなく、遮ることもなく。もちろん本心はわかりません。「話長いな」と思われてるかもしれませんね。でもそんな表情は一切見せませんでした。むしろ嬉しそうに聞いてくれた。

そんなあなたを見ているからこそ、彼女はこれからも大丈夫だと確信できるのです。

 

アイドルとファンは一心同体です。ファンの行動がそのアイドルを貶めてしまう。アイドルが喜べば、ファンも喜ぶ。切っても切れない関係にあるんです。

こうやってあなたとお話をしていて、松井珠理奈さんのファンのすばらしさを改めて感じました。それはつまり、彼女がすばらしいということです。彼女を好きになったファンは、決して彼女に恥ずかしい行動はできない。珠理奈さんも同じでしょう。いつだってファンを大事にしている。

珠理奈さんはあなたのようなファンという翼で、もっともっと舞い上がるはずです。その姿を見て、あなたも幸せになる。彼女とそのファンを見ていると、そう確信できるんです。

 

すばらしい人には、すばらしい人が集まる。

松井珠理奈のすばらしさは、そのファンによって証明されています。

 

どうか自信をもってください。

 

松井珠理奈さんを好きになったあなたは幸せです。

あなたという翼をつけた松井珠理奈さんは幸せです。

そうやって繋がる幸せは、卒業で切れることはありません。

これからもずっと続いていきます。

 

そのとき、あなたは……

 

 

 

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男性はそこで一息つくと、あなたの瞳をじっと見つめてきました。あなたには、男性が最後になにを聞きたいのか。それがはっきりと伝わってきます。

彼は、あなたの答えを待っています。この長い話にピリオドを打つのは、あなたです。

 

道はまだまだ続きます。

松井珠理奈さんも、あなたも。

その道が幸せであることを、心から願っています。

 

男性が最後に瞳で問いかけた言葉。

それは。

 

あなたは、どんな翼となって、彼女と一緒に空を飛びますか?

 

その問いに、あなたは――